2013年割とよく聴いたアルバム

あけましておめでとうございます。


ここ2年ベスト選出をサボっていたので、これはイカイカンということで、2013年分をupします。(というかほとんど書いてたのですが、なんやかんや年末年始の喧噪にかまけて原稿落ちという状態になってました笑)


参考:2010年割とよく聴いたアルバム


3年前の状況に更に拍車がかかって、アルバム単位で楽曲を聴くには下記の条件を満たしてないと、そもそもアルバムとして購入することはあっても聴くことはない傾向にありまして。
1. 音韻的に統一感がある
2. 音響的に統一感がある
3. 楽曲の属性情報に統一感がある(録音時期、楽曲に関連するスタッフ等々)
4. 楽曲が粒ぞろいである
要するにバンドリングに値する統一感があるか、または統一感が無くても優れたものの集まりであるかという点を、半ば無意識的に選んでいると思われます。


なので、以下のアルバム群はあくまで極私的なチョイスになってます。いやーダフトパンクの新譜やカニエの新譜、M.I.Aやメジャーレイザー、ロバートグラスパーの新譜等々もチェックしてるんですがどうも邦楽に偏ってしまいました。まあ、そこはご愛嬌ということで、ご高覧くださいませ。(※ちなみに洋楽だらけの楽曲編は後ほどupします。)



Metome / OPUS Cloud


アルバム単位であれば2013年一番聴いたと思う。AOKI takamasaの登場以降色々な人間が試みてきた、楽器音と声と電子音、グリッチとグルーヴのバランスを図ったもので一番の出来なんじゃないか。モーダルで展開されるサウンドがアルバム全体の統一感を生んでいてツボ。


聞くところによるとまだ20代半ばだとのこと。一度ライブを見た時も非Mac、それもHPのラップトップで演奏していて妙な好感を覚えた。



OPUS Cloud

OPUS Cloud





アストル・ピアソラ / AA印の悲しみ


ピアソラの代表作と言えばキップ・ハンラハンプロデュースで、アメリカン・クラーヴェからリリースされた『タンゴ・ゼロ・アワー』、『ラ・カモーラ』の2枚だよねー。リベルタンゴとかもカッコいいけど、やっぱピアソラは晩年の新五重奏団だよねー」と言っていた自分がこれを聴いてなくて赤面レベルの傑作。とはいえ長らく廃盤で、今回リマスタリングにて再発されたとのこと。


とにかく1曲目「AA印の悲しみ」が音楽史に残る超名演。22分間の情報量が凄まじく、アンサンブルの構成美と片や空中分解しそうになるギリギリの即興の緊張感が圧巻。


試聴はこちらから。


AA印の悲しみ

AA印の悲しみ





きゃりーぱみゅぱみゅ / なんだこれくしょん


爛熟期を迎えたのではないかと錯覚するほどに2013年の中田ヤスタカはツボった。というのも従来以上に所々でのダンスミュージックファンに秋波を送るニクい小技が際立っていたため。「Unite Unite」におけるEdit感、「だいじょばない」におけるボイスチョップ、「インベーダーインベーダー」におけるワブルベース(もっともこれはK-POPの影響か)…etc。


加えて持ち前のキャッチーなメロディー。CMソングとして、大橋巨泉の「はっぱふみふみ」、佐藤雅彦「ドンタコスったらドンタコス」などの系譜にあると言っても過言ではない反復+オノマトペのフレーズ。(余談だが、佐藤雅彦氏は『佐藤雅彦 全仕事』の中で、「CMは、音が大事」と語っており、また小沢健二渋谷系との接近でも知られる。渋谷系ネオ渋谷系(死語)のミッシングリンク佐藤雅彦だったのかもしれない。)


各シングル曲のクオリティの高さは言うまでもなく、「さいごのアイスクリーム」の90年代avexサウンド感(オケヒットがたまらない)や、「み」における無国籍アジア感(一部ではゴルジェからの影響の指摘があったが、むしろ応援団+ヨナ抜きバブルガムポップだと思う)なども素晴らしい。



敢えて「Unite Unite」を紹介。こちらは「にんじゃりばんばん」のカップリング曲。






あさき / 天庭


ほとんどV系もプログレも通ってないので、文脈に沿った評価が出来ないのが残念なところ。前作でも見られたシンコペーション多用+変拍子が今作でも絶好調。なのにサビのキャッチーさがあるのが氏の魅力か。歌詞に至っては前回以上に機能していない、というか歌詞カードを見ていても歌っている箇所、歌っていない箇所の判別が非常に難しい。「天庭」をカラオケで歌いたいのだけれど、これは収録が絶望的かな…。



貼っといてアレなんだけども、30秒足らず+この音質でプロモーションになるのか甚だ疑問。


天庭(初回生産限定盤)(DVD付)

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JAZZ DOMMUNISTERS / BIRTH OF DOMMUNIST


この作品は音楽的にどうこうと言うよりも何より菊地成孔大谷能生が共同して作った初のアルバムというところに意義がある。菊地成孔の従来の音楽作品に通底するポリリズムや、フロイディアン的な自分語りはもとより、(特に音楽家として)あまりオーバーグラウンドに出て来なかった大谷能生の今までの活動がふんだんに盛り込まれている。(「河岸忘日抄〜」のリーディングや、「みずうみのかもめ」の左右両チャネルからの輪唱ラップ等々。)ライブパフォーマンスがもっとアジテーション寄りになるとより良いのだが。とまれ従来の日本語のヒップホップの間隙を突く一枚。



購入はこちらから。